体位変換2時間ごとの根拠と、褥瘡を防ぐ圧再分散
連載:根拠でわかる看護技術(第3回)
「2時間ごとの体位変換」はなぜ生まれたのか。褥瘡の発生メカニズムから、体圧分散マットレスやポジショニングの考え方まで、根拠に基づいて解説します。
褥瘡はなぜできるのか
褥瘡は、骨突出部に持続的な圧力がかかり、皮膚と皮下組織の血流が途絶えることで組織が壊死して生じます。圧力の強さと持続時間の掛け算が重要で、弱い圧でも長時間続けば組織は障害されます。さらに、ずれ力(皮膚と骨がずれる方向の力)や摩擦、湿潤が加わると発生リスクは高まります。
「2時間ごと」の由来
古典的な研究で、同一部位への持続的な圧迫が2時間を超えると組織障害が起こりやすいと示されたことから、2時間を目安とした体位変換が広まりました。ただしこれは絶対的な基準ではなく、患者さんの皮膚の状態や使用しているマットレスの種類によって間隔は柔軟に調整すべきとされています。体圧分散性の高いマットレスを使用している場合は、より長い間隔でも管理できることがあります。
圧を「なくす」のではなく「分散する」
完全に圧をゼロにすることはできないため、ケアの目標は圧の再分散です。
- 体位変換:接触部位を定期的に変え、同じ場所に圧が集中しないようにする
- 体圧分散マットレス:接触面積を広げて局所の圧を下げる
- 30度側臥位:仙骨や大転子への直接的な圧を避けやすい体位として知られる
- ポジショニングピロー:踵を浮かせるなど、骨突出部を除圧する
ずれと摩擦への対策
ベッドの頭側を上げると、体が足側にずり落ちてずれ力が生じます。ギャッチアップは必要最小限にし、上げた後は背抜き・尻抜きを行って皮膚のずれを解放します。移動時は引きずらず、スライディングシートなどを活用して摩擦を減らします。
リスクアセスメントを組み合わせる
ブレーデンスケールなどの評価ツールを用いると、知覚・湿潤・活動性・可動性・栄養・摩擦とずれの観点からリスクを点数化できます。栄養状態の低下は褥瘡の大きな危険因子であり、十分なたんぱく質やエネルギーの確保もケアの一部です。
「2時間ごと」を機械的にこなすのではなく、その人の皮膚と全身状態を見ながら除圧と栄養、スキンケアを組み合わせることが、褥瘡予防の本質です。
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