感情労働とメンタルヘルス――自分の心を守る看護
連載:ナースの暮らし(第6回)
患者や家族の感情に寄り添う看護は、心をすり減らす感情労働でもあります。バーンアウトの兆候を知り、自分の心を守るためのセルフケアを解説します。
看護は「感情労働」でもある
看護は、患者さんや家族の不安・苦痛・怒りといった感情に日々向き合う仕事です。自分の感情をコントロールしながら相手に寄り添うこうした働き方は、感情労働と呼ばれます。身体的な疲労と同じように、感情労働は心のエネルギーを消耗させます。優しさや共感は看護師の強みですが、それを支える自分の心のケアも同じくらい大切です。
バーンアウトの兆候を知る
バーンアウト(燃え尽き症候群)は、熱心に働いてきた人ほど陥りやすいとされています。次のような変化はサインかもしれません。
- 心身が消耗し、以前のように働く気力がわかない
- 患者さんや同僚に対して冷淡・事務的になってしまう
- 自分の仕事に意味や達成感を感じられなくなる
これらは怠けではなく、心が限界に近づいているサインです。早めに気づくことが、深刻化を防ぎます。
感情をため込まない
つらい出来事や割り切れない感情を一人で抱え込むと、心の負担は増していきます。
- 信頼できる同僚や友人に気持ちを話す
- 忙しさの合間に、意識的にほっとする時間をつくる
- 自分の感じている感情を否定せず、そう感じて当然だと受け止める
感情を言葉にして外に出すこと自体が、心の整理につながります。
仕事と自分の間に線を引く
責任感が強いほど、仕事の出来事を家に持ち帰り、休日も気持ちが切り替わらなくなりがちです。勤務が終わったら意識的に気持ちを切り替える習慣をもつ、仕事以外の自分の世界を大切にするといった線引きが、心の消耗を防ぎます。すべての患者さんの結果を一人で背負い込む必要はありません。
支え合える職場の力
メンタルヘルスは個人の努力だけの問題ではありません。困ったときに相談できる雰囲気、つらい経験を振り返り分かち合える場(デブリーフィングなど)があることは、チーム全体を支えます。周囲を気づかうと同時に、自分もまた支えられてよい存在だと認めることが大切です。
助けを求めることは強さ
不調が続くときは、我慢を重ねるより早めに専門家や産業保健スタッフに相談することが賢明です。助けを求めることは弱さではなく、自分を守り、長く看護を続けるための力です。患者さんを支えるためにも、まず自分自身を大切にする視点を忘れないでいたいものです。